
BOPIS(ボピス)とは?
スーパーマーケットでの活用法を解説
BOPIS(ボピス)は「Buy Online, Pick Up In Store」の頭文字を取った略称で、オンラインで商品を注文して店舗で受け取ることができるサービスを指します。「店頭受取サービス」という名称で提供している企業も多いようです。
また、BOPISはオンラインで注文した商品を自宅以外で受け取るクリックアンドコレクト(Click & Collect)の一種と定義されています。他にも似たサービスとして、カーブサイド・ピックアップというオンラインで注文して駐車場で受け取る仕組みがあります。
BOPISの仕組みは実店舗とECを融合させるOMO(Online Merges with Offline)やオムニチャネルの一環として、近年注目を集めています。消費者はBOPISにより配送を待つことなく便利に商品を受け取ることができます。一方、店舗側は顧客の来店機会が増えることで追加購入の促進がしやすくなるなどのメリットがあり、スーパーマーケットやホームセンターなどの小売業界を中心に導入が増加しています。
すでに一般に普及しているネットスーパーなどのECや、飲食店の導入が多いモバイルオーダーとBOPISは違うのでしょうか?
BOPISとEC、モバイルオーダーは同じような仕組みの部分もありますが、それぞれを詳細に比較するとBOPISとECやモバイルオーダーには明確な違いがあります。以下にBOPISとEC、モバイルオーダーの違いをご紹介します。
BOPIS | EC(電子商取引) | モバイルオーダー | |
---|---|---|---|
仕組み | オンラインで注文し、店舗で受け取る | オンラインで注文・決済・配送まで完結 | スマホなどで注文し、店頭で受け取る |
対象業種 | 小売業(食品・衣料・日用品など) | さまざまな業種 | 主に飲食業 |
主な注文手段 | Web / アプリ | Web / アプリ | Web / アプリ / 店内タブレット |
主な受取方法 | 店舗受取 | 配送 | 店舗受取 / 配送 |
特徴 |
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いずれもオンラインで注文するという点は共通していますが、業種・業態によって最適化した結果、異なる仕組みとして発展してきたと言えます。
例えば、モバイルオーダーは店内からの注文もできる点から飲食店で多く利用されています。ECはどの企業から購入しても同じ商品が届く本や家電製品、また重量があり持ち帰りが大変な商品購入でよく利用されます。
では、BOPISはどのような業種に適しているのでしょうか?
BOPISの仕組みはスーパーマーケットをはじめとする小売業に適しています。その理由をご説明します。
BOPISはオンラインで事前注文を行って店舗で受け取る仕組みです。そのため、一見すると自宅で注文・受け取りを完結できるECと比べると非効率に見えるかもしれません。しかしスーパーマーケットが取り扱っている商品を考えてみると見え方はガラリと変わります。
独自のルートで仕入れられたこだわりの野菜。鮮度や内容量を確認しながら購入したい精肉や鮮魚などの生鮮品。他にもお惣菜やお弁当などは直接店舗で選んで購入したいという消費者は少なくありません。一方、レトルト食品や調味料、日用品などは店頭で選んでも、オンライン上で選んでも品質に差はありません。
このように考えると、生鮮食品は売り場で実際に商品を選んで購入。レトルト食品や調味料、日用品など品質が一定の商品はBOPISの仕組みを活かして事前注文して店舗で受け取り。スーパーマーケットではこのようなハイブリッドなお買い物体験が求められていると言えます。
BOPISには消費者にも店舗にもさまざまな導入メリットがあります。
消費者のメリット
- タイパが良い
- いつも買う定番商品は事前注文、生鮮品は目で見て選んで購入すればお買い物がパパッと済ませられます
- 送料がかからない
- 店舗受取のため、ネットスーパーと違い配送コストがかかりません
- 品切れ商品の代替購入が可能
- 事前注文時に売り切れだった商品も、店舗受取なら代替品の購入が可能です
店舗側のメリット
- 追加購入の促進
- 受け取りの際に、追加で買い物をしていただく可能性が高まります
- 導入・運用が容易
- ネットスーパーと比べてシステムの導入及び運用が容易です
- 他社との差別化
- 近隣競合店がBOPISを導入していない場合、利便性の高いサービス導入店として差別化要因になります
BOPISを実際に導入するとしたら、具体的にどのような運用をすればいいのでしょうか?まずは基本的な利用の流れをご紹介します。
- オンラインで事前注文(消費者)
スマホアプリや注文用Webサイトから、オンライン上で商品を注文します。このとき、商品の受取店舗や受取時間を指定します。 - 店舗での準備(店舗)
事前注文を受けた店舗のスタッフは、来店時間に合わせて注文商品をピッキング。専用ロッカーに収納するなど商品受け渡しの準備を行います。 - 店舗受取(消費者)
注文時に指定した店舗・時間に来店し、事前注文商品を受け取ります。
基本的な利用の流れは以上です。事前注文商品の精算は、品切れや追加購入品を考慮して「3.店舗受取」のタイミングで行うことが多いようです。
スーパーマーケットにおいて、BOPISは買い物客の利便性向上や買い物時間の短縮といった顧客ニーズに応える手段として注目されています。よく見られる活用法には次のようなものがあります。
- 専用の受取ロッカー設置で顧客利便性の向上
受取ロッカーやサービスカウンターで事前注文品を受け取れるようになると、混雑時でも店舗滞在時間を短縮できるため、顧客満足度の向上につながります。受取ロッカーならスタッフを介さずに商品を引き渡せるので更に利便性があがります。
- 注文と受取を分担して多様なライフスタイルに対応
BOPISは多くの場合、注文する人と受け取る人を分けて利用できます。注文と受取を分担できるため、注文は日中の通勤時間や休憩時間に済ませ、夜になったら都合のつく家族が受け取りに行くなど、多様なライフスタイルに対応できます。
- 買い回りの補完手段として
「生鮮品は自分で選びたいけど、購入する商品が決まっている日用品はさっと受け取りたい」という顧客には、BOPISと通常の買い物を組み合わせたハイブリッドなお買い物体験への期待が高まっています。
このような買い物スタイルを提供している店舗はまだ多くないため、他店との差別化や利用客の囲い込みといった面でも、大きな効果が期待できます。 - 店舗側の業務効率化
事前に注文された商品をピッキングしておくことで、レジ混雑の緩和やレジスタッフの作業負担軽減が可能になります。注文内容が事前に分かっているため、人的ミスも減らせます。
TERAOKAが提供するBOPISソリューション「Shop&Go PickUp」は、スムーズで効率的な店舗受取を実現するシステムです。アプリの事前注文から店舗でのピッキング管理、さらに受取ロッカーまで一気通貫で提供しており、店舗オペレーションの最適化を図ります。
Shop&Go PickUpの特長
- スピーディーな受け取り
- 専用ロッカーを活用し、利用者の待ち時間を最小限に
- POSレジとの完全連携
- スマホレジ「Shop&Go」を活用した仕組みで導入コストも抑えられる
- 顧客満足度の向上
- 他店との差別化で満足度UP、新規顧客の獲得にも
「Shop&Go PickUp」を活用することで、店舗の省力化と顧客満足度の向上を両立し、より便利で快適なお買い物体験を提供できます。
関連製品:Happy-LINK | Shop&Go PickUp | Shop&Go | 電子棚札ESL | AIピッキングカート
近年、デジタルとリアルを融合した販売戦略が注目される中で、「O2O(Online to Offline)」、「オムニチャネル」、「OMO(Online Merges with Offline)」といった言葉を耳にする機会が増えています。
似たような意味に感じるこれらの言葉にはそれぞれ明確な違いがあります。
O2O (Online to Offline) |
オムニチャネル | OMO (Online Merges with Offline) |
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---|---|---|---|
概要 | オンラインから実店舗への送客を狙った施策 | 複数のデジタルチャネルのデータを一元化し、オンライン・オフラインで同じ体験を提供する施策 | オンラインとオフラインの境界を意識しない購買体験を提供する施策 |
特徴 | クーポン配布や来店誘導など単発施策が中心 | チャネル間の一貫性を重視 | オンラインとオフラインを融合し、シームレスで快適な購買体験を提供 |
メリット | ・手軽に始められる ・来店数の増加が見込める |
・顧客の利便性向上 ・チャネルをまたいだ売上獲得 |
・顧客一人ひとりに最適化された体験 ・LTVの最大化 |
デメリット | ・一過性の施策が多く、継続性に乏しい ・費用対効果の算出が難しい |
・システム連携などにコストがかかる ・組織内調整が必要 |
・初期投資・運用コストが高い ・高度なデータ分析・DX推進体制が必要 |
O2O、オムニチャネル、OMOの違いはこのようにまとめられます。
真に顧客に求められているのはOMOに沿った購買体験でしょう。しかし、OMOを実現するには顧客の会員情報や商品・店舗情報など、数多くのデータ整備と高度なシステム管理が必要です。そのため、スーパーマーケットや小売店においては、O2O → オムニチャネル → OMOと段階的に進めることが、デジタル施策の成功の鍵となります。多くの小売店がSNSの活用などで、知らず知らずのうちにO2O施策に取り組む昨今、次なる一手にオムニチャネル・OMOに挑戦するのはいかがでしょうか。