2026年のフードトレンド
市場調査会社のミンテル (Mintel) は、2026年の食品・飲料のグローバルなトレンドを次のように予測している。
まずは「最大化から多様化へ」だ。タンパク質や食物繊維をできるだけ多く摂取しようとするのではなく、多様な食材を取り入れ、バランスを重視した食事スタイルへとシフトしていく。
また、「レトロの復活」もトレンドになる。不確実性の高い時代で先行きへの不安が広がる中、信頼できる伝統に根差したブランドや商品は消費者に安心感を与えやすい。
その一方、新たな食体験として「意図的な感覚体験」も注目すべきトレンドだ。味覚だけでなく色や質感、香りなども組み合わせ、五感を刺激する楽しい商品が求められるようになる。
自然食品やオーガニック食材に強みを持つ米ナチュラル・グローサーズ (Natural Grocers) は、2026年の主要トレンドのレポートで食品・飲料に関する動向を発表した。
このレポートでは、健康寿命やウェルビーイングのために、野菜からより多くの炭水化物を摂取するようになると予測されている。約5万人の女性を対象とした研究によると、野菜、果物、全粒穀物、豆類など、食物繊維が豊富な炭水化物を多く摂取した女性は、より健康的に年を重ねる傾向が見られた。また、野菜や果物の摂取量を増やすことで、生活の満足度やウェルビーイングが向上するという研究結果もある。
家計に配慮しながら健康で美味しい食事を楽しむことも、2026年のトレンドのひとつだ。
内食の頻度が増え、旬の野菜や豆類、加工度の低い冷凍素材などを無駄なく使い、家計にやさしく栄養価の高い食事を家庭で作るようになる。
刻み野菜をたっぷり混ぜたソースで肉をかさ増しし、美味しさと栄養価を高めるなど、高価な食材をより健康的かつクリエイティブに使う工夫も見られるようになるだろう。
食品大手ネスレ (Nestlé) は、米国消費者の嗜好やニーズの変化を分析し、2026年のトレンドを予測している。
まず注目されるのは、米国で広がりつつあるスパイスブームだ。スパイシー (辛さ) とスイート (甘さ) を組み合わせたスワイシー (swicy) は、若年層を中心にSNS上で注目を集めてきた。
2026年はスワンシーに続く新たなトレンドとして、スパイシーとスイート、タンジー (酸味) を合わせたスワンジー (swangy) や、スパイシーとスイート、サヴォリー (香り) から成るスワヴォリー (swavory) のように、辛さに新しいひねりを加えて味にさらなる深みをもたらすものが人気を呼びそうだ。
感覚をより深く刺激する食体験へのニーズが高まり、食感もますます多様化している。2026年のトレンドは、なめらかな食感だ。SNS上では、とろけるような食感を表す「ベルベッティ (velvety)」を含む投稿が、四半期ごとに40%増加している。
米ホールフーズ・マーケット (Whole Foods Market) は2026年のフードトレンドを発表した。
消費者の健康志向はますます高まっている。腸活や消化器系の健康、腹持ちのいい食が求められ、「食物繊維の重視」がトレンドだ。食物繊維が豊富な食材として、キャッサバやチコリなどの根菜、こんにゃく、オート麦などが挙げられる。
健康志向は菓子にも広がり、「スイーツを賢く楽しむ」もトレンドになっている。代替甘味料よりも甘蔗糖を使った控えめな甘みや、果物、ハチミツ、メープルシロップで甘味を加えたものを選ぶ消費者が増えている。
「酢の活用の広がり」や「タロー (牛脂) の復活」のように、長年広く利用されてきたものが、改めて見直される傾向も見られる。
酢は料理の味わいを豊かにするだけでなく、血糖値の上昇抑制など、健康面での効果も期待され、用途の幅が広がっている。また、タローは昔ながらの栄養豊富な食用油脂として再び注目されている。
即食・簡便商材の多様化が進み、「冷凍食品の高級化」や「インスタントの再定義」もトレンドだ。
レストランと同等の美味しい食事を家庭で簡単に楽しめる付加価値の高い冷凍食品は、時短ニーズに応えるだけでなく、外食を控えて節約したいグルメ層からも支持されている。また、インスタント食品は、かつての代わり映えしないイメージを一新し、健康的で美味しい食事や本格的な飲み物をいつでもどこでも楽しめる手段へと進化している。
色彩やデザインで気分を高める「ドーパミン・デコール」がキッチンに波及し、「キッチン・デコール」もトレンドになっている。
キッチンの彩りとして、缶詰やオイルボトルなどの一般的な加工食品にも、鮮やかで大胆な色彩やデザインが求められつつある。
英食品スーパー (SM) ウェイトローズ (Waitrose) は、4393人の利用者を対象に2025年9月に実施したアンケート調査と同年9月から10月までの販売データをもとに、英国消費者の購買行動を分析した。
食生活においては、1日3回の食事からフレキシブルで簡便なスナックへとシフトする傾向が見られる。
アンケート調査では、57%が「時々、食事をスナックで済ませることがある」と回答した。約3分の1が「料理をするのが面倒」と答え、約半数が「平日の夕飯を食卓では食べず、居間のソファや台所で済ませている」という。
ウェイトローズでは、トルティーヤ・チップスなどにつけて手軽に食べられるディップソースの売上高が対前年比33%増と伸長している。
健康志向が高まる中、食物繊維への関心は特に強まっており、76%が「食物繊維は重要だ」と答えた。その一方で、英国政府が推奨する食物繊維摂取量 (1日30g) を知っていた人は、21%にとどまっている。
ウェイトローズでは、食物繊維が豊富な加工食品として、豆の缶詰や瓶詰の売上高が対前年比45%増、オーツ粉が同79%増と大きく伸びている。
また、節約志向の高まりを受け、食物繊維が豊富で安価なジャガイモが見直されつつある。ウェイトローズの公式ウェブサイトでは、英国で定番料理であるジャケットポテトの検索数が約2.8倍に増えた。