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(株)新日本通商 代表取締役社長
倉持 純一郎氏(くらもち じゅんいちろう)

日本の中食マーケットに
イノベーションを起こしていきたい。
(株)新日本通商/平成5年設立。スチームパック製法によるチルド食品の企画および製造・販売を手がける。本社は東京都港区浜松町1-29-10。

「私は食道楽なんですよ」と開口一番、“食”に関わるビジネスを始めた動機を語る(株)新日本通商代表取締役社長の倉持純一郎氏。26歳で脱サラして、東京・虎ノ門に魚介類を使った外食店として洋食と和食の2店舗を構えた。バブルの余韻がまだ漂う中で、お店は大いに繁盛したようである。
 そうした中、ふとした縁からデパートへの出店を勧められる。まだ“デパ地下”という言葉のなかった時代、倉持氏は百貨店やデパートの地下の惣菜売場への関心を強めていった。「デパート地下の神戸コロッケ(現在の(株)ロック・フィールド)のコーナーに並んだ長い行列を見た驚きは今も忘れられません」と、倉持氏は当時の驚きを語る。
 バブル破たん後の景気低迷とともに、徐々に食の家庭回帰が始まり、外食から中食へと需要のシフトが始まった。そうした流れに自然に乗るように倉持氏は、現在の(株)新日本通商を立ち上げ、中食の事業を本格的にスタートした。
 「欧米と同様に、女性の社会進出にともなって、中食の需要は今後ますます増えてくると考えています。これまで日本国内には、独自の弁当や惣菜の文化があり、そのことが逆に、中食に関連する技術開発を遅らせてきたといえます。
「機能のないパッケージは不要だと考えます」と語る倉持社長
 私は中食の事業をスタートするにあたり、欧州で急速に拡大するレディーミール・マーケットの視察に行きました。かつての冷凍のTVディナーとはまったく異なり、“レディーミール”はチルド食品ならではのおいしさとともに、その品ぞろえの多様さにも驚かされました。そうした品ぞろえは、製法や調理法、パッケージング技術などの多様な独自技術に支えられています」
 こうした欧州での“レディーミール”の考え方やパッケージング技術などを導入し、約1年半前に開発したのが『スチームパック』。この技術による自社ブランドのレディーミール商品として、『Vegetable Complex』シリーズは大手コンビニ、スーパーなどで非常に好評だ。
 「『スチームパック』シリーズのパッケージは非常にシンプルで、ほぼ無地で透明な容器に、紙の帯掛けでデザイン・表示をしています。惣菜などの商品設計では、パッケージの負担が大きくなりがちです。私は、機能のないパッケージは基本的に不要だと考えています。『スチームパック』は、トップシール・フィルムに加工されたバルブが独自の構造を持っており、それが電子レンジでの調理機能を果たすのです」
 「現在、電子レンジの国内での普及率はほぼ100%です。今後、本格的に高齢化が進むとともに、電子レンジでの調理が増えることは容易に想像できます。それにもかかわらず、国内での中食の開発は電子レンジでの加温にとどまるもので、調理を意識したものではありません。また、店内調理のテイクアウト惣菜でも、持ち帰って食べるときには、いくぶん冷めてしまいます。これから調理機器のひとつとして進化し続けるであろう電子レンジの利用を考え、いかに簡便に、出来たてのおいしさを食卓に提供できるかを追求していきたいと思っています。『スチームパック』の普及によって、国内の中食マーケットにイノベーションを起こしていきたい」と意気込みを語る。
 同社は「スチームパック」で、すでに大手食品メーカーと提携しており、今春以降、一気に普及が進むことが期待されている。『Vegetable Complex』シリーズは、「スチームパック」による出来たてのおいしさだけでなく、野菜の栄養摂取量などにも配慮されている。例えば、製造工程での栄養素の過熱劣化を防ぐため、独自の低温での滅菌法などを用いている。
 確実に進行している高齢社会の潜在ニーズをとらえて、今秋には次の中食の柱として低温殺菌のスープを発売する予定である。倉持社長は、大きく変化していく社会構造を強く意識し、国内の中食マーケットのイノベーションを常に追い続ける。

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