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「優しい店」づくりを考える
「品揃え」「価格」「鮮度」と並ぶ食品スーパー来店の条件
どんなに品揃えがよくても、鮮度がよくても、価格が安くても、そもそも来店に支障をきたす店では、競争のラインにも立てない。店数が増えて、商品の品質・管理レベルが一定の水準になったとき、どこで差別化されるべきか。お客さまに残された「不満」はどこにあるのか。
文/写真・山本恭広(株)商業界/『食品商業』 編集長
買い物の合間にちょっとくつろげる空間として、イートインの設置が必須となっている
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「駐車場への進入(退出)のしやすさ」 79%
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「(トイレが)清掃されている・汚れていない」 97%
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「店内の温度が適当である」 53%
これは今年3月、販促サポート会社であるグリーンスタンプが主婦モニターに行った調査で、食品スーパーの「設備」について、「絶対必要」とするものは何かを聞いたものです。「優しい店」とは何か、自店のお客さまの買い物を妨げる“障壁”が何かを考える上で、多くのヒントが得られます。
お客さまが、食品スーパーを選ぶ要素に、「品揃え」「価格」「鮮度」を挙げることは間違いありません。最近は、オーバーストアの傾向からか、「(自宅から)近い場所にある」ことも重要になってきました。しかし、週2回、3回と訪れる場所だけに、「行きやすい、近づきやすい場所(立地)にある」「安心かつ快適に買い物ができる店内環境である」ことも必要なのです。
先述の項目以外にも「駐車場内の誘導員の有無」「店内または売場へのレシピ」なども「絶対必要」かどうかの選択肢に盛り込まれていたのですが、優先順位の上位には挙がりませんでした。こう考えると、「絶対必要」として冒頭に挙げた項目は、ホームセンター、ドラッグストア、コンビニエンスストアなどセルフサービスの小売業であれば、共通の必要事項ばかりです。
「優しい店」ランキングと調査項目にみる改善ポイント
図表(1)は、『食品商業』(2008年9月号)で行った「優しい店」ランキングの一部です。お客さまが“私の行き付けの店”とする選択基準は何か。これを「設備・運営」の面に焦点をあて、臨店調査を行ったものです。
調査項目は図表(2)。
「セキュリティ」「セーフティ」「バリアフリー」「アメニティ」の4つに分類した上で、調査項目を立てました。
例えば、「セキュリティ」で挙げた「防犯カメラの設置」は、(不特定多数の人物の出入りを監視するという意味で)店舗出入口、そして(子どもの寄り付きが多く、万引きその他の事故を誘発しやすい)菓子売場などへの設置を重視した項目となっています。また、「防犯ゲートの設置の有無」も、万引き防止用のセンサーとまではいかなくても(食品スーパーの品揃えでは現実的ではない)、不特定人物の出入りを“妨げる”ようなゲートの設置をあえて挙げました。
「セーフティ」は、駐車場内の車線表示や二重線による駐車枠の確保など、自動車来店客にも配慮した安全な買い物環境の確保がなされているかを、みる項目としました。AED(自動体外式除細動器)は、急な心肺停止状態になった場合の救命装置で、一般人の利用が認められて以来、公共施設、ショッピングセンター、大型スーパーにまで設置場所が広がっています。これも老若男女幅広い客層を迎え入れる食品スーパーにとって、装備が望ましいとして調査項目に加えました。
「バリアフリー」は単に「建物の段差」という視点からではなく、「万人にとって、買い物を妨げる要素の有無」を考えて、身障者専用駐車スペースの確保や車椅子の常備の有無、売場案内と非常出入口の明確な表示なども盛り込んでいます。これは客層の高齢化が進む食品スーパーにとって、必須だからです。
「快適な環境・空間」の意味でもある「アメニティ」。
アミューズメント施設やフードコートの充実だけを指すわけではありません。日常使いされる食品スーパーにとってのアメニティとは「15分間以内」とされる買い物時間の中で、いかにストレスなく、効率よく、店内をまわれるかを重視しました。
冒頭に挙げた駐車場への出入りのしやすさを筆頭に、表記はしていませんが、(買い物カートがすれ違える)通路幅の確保も「絶対必要な設備」として、上位に挙げられていました。
本頁に挙げた「優しい店」ランキングの対象となった調査店舗は、(年次経過によって)客数やオペレーションも安定期に入っている状態での「設備・運用」をみるということもあって、ハートビル法対応など一定のバリアフリー化がなされている、2002年以降開設した店舗から40店をランダムに選んで対象としています。
テーマ別では、「アメニティ」が一番高いスコアをつけていました。
「給湯・給水の無料サービス」「トイレの汚損・破損」など7項目に、調査店舗数(40店)を掛け合わせると、計280項目が調査対象数となります。そのうち「4点(良好)」を獲得したのは207項目。比率にして74%の達成率です。項目別では「トイレに手洗用洗剤が常備されているか」が全40店舗で「4点(常備)」となっています。お客さまだけでなく、従業員の利用も想定されているだけに、衛生管理の面で当然の結果でもあります。
逆に最も低いスコアとなったテーマは「セキュリティ」。5項目掛ける店舗数で計200項目を調査対象数とすると、「4点(良好)」となったのは96項目。半数以下(48%)の達成率でした。先述の項目説明にあるように、特に治安に配慮を要する地域性か否か、また店舗のハード自体の条件もあって、一律評価は分かれるところです。
食品スーパー = 「第三の場所」であるための条件
駐車場の出入口のバリアフリー化を採用している食品スーパーも出てきた
「私たちの店はお客さまにとって、第三の場所になっています」
これはアメリカの食品スーパー「ユークロップス・スーパーマーケット」のバイスプレジデント、ジャクリーン・レグ氏の言葉です。3年前に、日本セルフ・サービス協会の招きで来日した際の講演でも有名になりました。
同社は、バージニア州リッチモンドの都市圏に地盤を持つ約30店舗のローカルチェーンです。デリやスープバー、ベーカリーを武器としたミールソリューションで、圧倒的な支持を得ています。こうした店舗づくりの根幹思想に、「第三の場所」を掲げているのです。
生活者にとって、一番の場所はいうまでもなく「自宅」。二番目は職場や学校など、毎日通う場所。そして三番目が、アメリカの生活習慣でいえば、ボランティアの場所、集会所、ゴルフコース、教会など一定の頻度で通う場所であるというのです。ユークロップスの店も同じようにお客さまが週に何度も足を運んでくれるので、「第三の場所」になっているという理屈なのです。商品やサービスの提供だけでなく、カフェを設置することで、来店の合間にちょっとくつろげる場所を確保したり、画面上で注文した商品の完成を名前付きで告知するサービスなども同社の店舗を特徴づけています。レジ待ち時間を短縮させるエクスプレスレーンもその一つ。
現状の競争激化の中、お客さまが喜ぶこと、必要とすることに対応するだけでなく、お客さまにとって、「不満」「不安」「不信」などの“不”をできる限り撲滅していくことが必要です。「優しい店」づくりはその一環です。本頁に掲載した調査票は、モータリゼーション対応、SC出店SMを想定したものですが、自店の改善ヒントにする場合は、アレンジも必要です。
都市部への人口集中に伴い、住宅を含んだ商業施設開発もあり、ビルイン、駅前立地など出店形態も多様化しています。こうした出店環境では、多層フロア店舗も出てくるため、エスカレータの適切な設置で売場回遊やワンウェーコントロールを確保することも必要でしょう。またそうした店舗はモータリゼーション対応よりも、近隣からの徒歩または自転車来店に対応すべく、十分な駐輪台数の確保や駐輪場の整備が「優しい店」につながります。自店の商圏を見渡して、地域の生活者にとっての「優しい店」とは何かを考え直す契機にしてください。
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