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2008年 食品スーパーの
「商品」「価格」「店舗」重要課題

2007年、食品スーパーの世界をにぎわした重大ニュースをもとに2008年の
食品スーパーにとって重要課題となるものを「商品」「価格」「店舗」別に整理して解説します。

文/写真・山本恭広(株)商業界/『食品商業』 編集長
pic 売場での表示も、正確で安心を与えるものであることが求められる(写真は「食品商業」掲載より引用)

【商品】「安心できる表示」と「品質管理の透明化」へのニーズ高まる

 昨年、多くの経営トップに、2007年の食の話題について伺うと、いの一番に挙げたのがこのテーマでした。不二家の期限切れ牛乳使用から始まり、ミートホープ、比内地鶏、白い恋人、赤福、船場吉兆など食のブランドといわれた企業における不正表示や産地偽装が次々と発覚しました。新聞紙面には「お詫び広告」が絶えませんでした。食品包装の虚偽の表示を禁じた「食品衛生法」、加工食品における名称・原材料名や賞味期限などの表示ルールについて定めた「JAS法」、産地・品質・製法などについて消費者の誤解を招く表示を禁じた「不正競争防止法」などが“大活躍”した年でもありました。
 そして、こうした不正や偽装は、食品メーカーに限らず、大手ファーストフード、コンビニ、テイクアウト弁当などの店頭でも起こることが確認されました。しかも、品質や工程管理での仕組み化がなされたはずのチェーン店であっても、店頭で人手を介する部分での偽装や不正が起こり得ることが明らかになりました。
 確かにこれらのチェーン店での日付表示改ざんはいずれも社内基準に基づいた日付管理のルールを破ったものであり、それだけでは法に抵触するわけではありません。
 しかし、産地はもちろん製造現場には、消費者の目は行き届きません。これまで信頼しきっていた部分に嘘が次々と発覚してきたのです。今まで“見えなかった箇所”での嘘だけに、消費者は過敏になってきました。表示一つとっても、お客さまがパッケージの裏をひっくり返して確認する光景が売場で見られるようになりました。
 より安全で、安心できる商品を求める傾向は強まります。原産地や成分表示だけでなく、日付表示も現状ルール化されている消費期限だけでなく、原材料の調達時点や前処理加工時点といったところまでの義務化あるいは消費者の要望をとらえた上での対応が必要になるかもしれません(本当の鮮度表示を求めるのであれば)。そして、万一品質や工程上でのエラーが発覚したら、原因特定とともに解決法を速やかに開示する必要があります。
 今、消費者はこれらの「安心できる表示」と「品質管理の透明化」を求めているといっていいでしょう。この感覚に作り手と売り手側が追いつかなければなりません。

【価格】「価格以外の情報発信」に成功した店が勝つ

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値上げ基調の中で、イオンは先陣を切って「生活応援価格」を展開した
 原油、果汁、小麦粉などの原料高騰による、サラダ油、マヨネーズなどの各種調味料からパン、乳製品、即席麺、ペーパー類にいたる生活必需品での値上げ品目がほぼ出揃いました。さらにガソリン価格も大幅な値上げとなり、カーショッピングにも影響が出ることになりそうです。
 この間、チェーン各社も「価格凍結」やら「食卓応援価」「家計応援価」など値上げカテゴリーにターゲットをあてた価格プロモーションを継続してきました。当初は2007年いっぱいの見込みでしたが、「(先に価格を)上げては負ける」(某チェーン店トップ)とばかりに春先の棚換えシーズン直前までは“価格持久戦”が続くことになるでしょう。
 価格を競い合うことは、消費者にとっては歓迎する面もあるのですが、店にとっては粗利益を抑制した上に、チェリーピッカー(特売品だけを目当てにする人)の来店だけでは利益は残りません。おまけに安くしても必ずしも多く買ってもらえる時代ではありません。
 そこで、“価格から目をそらす”ような売場づくりが必要です。『日本一わかりやすい価格決定戦略』の著書をはじめとして、価格戦略についての専門家で知られる学習院大学経済学部の上田隆穂教授は「店の買いやすさやメニュー情報など価格以外に目を向けるような売り方が必要」といいます。
 これは化粧品や車など嗜好性の高いカテゴリーならわかりやすいのですが、果たして誰もが、毎日使う、消費する、何度も買うコモディティ商品ばかりの食品スーパーの売場でそういうことが可能でしょうか。
 「使い勝手のよさなどの機能や効能アピール、クロスMDなどがあるが、消費者データに基づいた精密な仮説が前提」(上田教授)といいます。もちろん、商品と関連づけて提供される情報も、生活者にとって、本当に役に立つ、かゆいところに手が届くような気の効いたものでなければなりません。これは練り上げてアピールするのは価格の問題以上に難しいかもしれません。 
 ただし、これも高売りしてはいけません。お客さまが受け入れるぎりぎりの価格を精査した上での売価設定が前提になります。少なくとも競合店に負けた(またはお客さまから“高いね”と思われる)価格ではそもそも来店すらしてくれなくなるからです。地域の相場に合わせた価格設定をしてこそ、鮮度、品質やさまざまな提案性など、店のよさを伝えることができるのです。

【店舗】「改正まちづくり三法」全面施行でコンパクト店舗は都市部に集中

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値上げカテゴリーを対象に食品スーパー各社は価格訴求を強めている(写真はヨークベニマル)

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都心部攻略を狙った小型店開発が進む。600坪を基本としてきたマックスバリュでも大阪府内に260坪店舗を出店(写真は江坂店
 2007年11月末、“まちづくり三法”の一つである「改正都市計画法」の施行(「大店立地法」「中心市街地活性化法」は施行済み)により、1万平方メートルを超える郊外大型店の出店に規制がかかるようになりました。
 これにより、大型ショッピングセンターを開発してきたチェーン店においても1万平方メートル内にターゲットをシフトさせた店舗開発が進むと思われます。
 例えば、総売場面積1万平方メートル以内の店舗をイメージすると、2000平方メートル(600坪)の食品スーパーを核店舗とした場合、ドラッグストア1000平方メートル(300坪)、実用衣料1000平方メートル(300坪)、その他フードサービス、カルチャーなど非物販サービス系で構成される、6000〜8000平方メートルの近隣型ショッピングセンター(NSC)ができ上がります。現在NSCは食品スーパーにおける主力となる出店パターンとなっていますが、大型SCを主力としてきたチェーンもNSC開発へとシフトすることが予想され、このタイプの出店が集中すると考えられます。
 郊外の大型店出店にブレーキがかかる一方で、都市型小型店に新しい動きが出ています。英国最大食品スーパーであるテスコは実質的な1号店である小型店「エクスプレス」を07年3月にオープンさせました。07年末時点では6店舗。本国英国では「エクストラ」や「スーパーストア」の店名をもつ大型店を主力としながらも、日本における都市マーケットの需要を見越した上で「エクスプレス」という小型店を選択したことに戦略眼を示したといえます。
 国内最大手のイオンも「まいばすけっと」というミニスーパーを展開しています。07年12月現在では9店舗ですが、生鮮・惣菜、ベーカリーなどのゾーニングを変えるなど1店舗ごとにリモデルを進行させています。食品スーパーの基幹フォーマットである「マックスバリュ」でも、先に大阪府内に200坪強のタイプを出店、都心攻略の新しいひな形を形成しつつあります。
 イオンは、先の大阪府内の小型マックスバリュを出店後、周辺地域にドミナントを持つチェーン光洋を買収、子会社化、あるいは都心部に中小型店を擁する地域チェーンとの提携、買収によって都心マーケットのシェアを高めるという方策も併せて選択すると考えられます。
 ただし、これらの小型店は、都心立地である以上、豊かな居住人口を背景に狭い商圏の中でも高い販売効率の獲得が見込まれますが、単身者はじめ小世帯が多いことから、“高来店頻度”“小容量買い”そして“低い客単価”となります。また、ビルインや居抜きでの出店パターンが増えるため、ハード上において標準化がしにくくなります。さらに、売場が狭く品出し補充などの作業頻度が高まりやすいため、売上げに比較して経費高になりやすい側面をもちます。
 まだまだ修正の余地はありますが、今後の都市部への人口回帰も相まって、“(徒歩、自転車などで)5分以内”という超小商圏を極めようとする店舗同士の戦いが増えることは間違いないでしょう。
 生活者に限りなく近づいたロケーションに「店舗」を配し、“安全・安心”な「商品」を品揃えした上で、競合他社に近い、または地域の実勢価格に合わせた「価格」をつける。こうして初めてお客さまはわが店を選んでくれる。厳しい条件ですが、こんな戦いが地域のくらしを豊かにしてくれるのです。

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