テスコは衣料、住居・家電を含めた総合型品揃えの大型店「エクストラ」、「スーパーストア」、都市型小型店の「メトロ」などの店舗タイプを持ちます。商圏や立地などの環境に応じた出店パターンを持つことで高いシェアを築いてきたともいえます。今回、日本に出店したタイプである「エクスプレス」はメトロよりもさらに小型のタイプ。”特急“という店名が意味するように、「ショートタイムショッピング=短時間購買」を意識したフォーマットです。
1号店となった大泉学園店は売場面積約100坪。青果を先頭に、鮮魚、精肉、惣菜を壁面に展開、センター部分のゴンドラに菓子、加工食品を配置しています。菓子や調味料に一部のテスコブランドが入っていますが、典型的なミニスーパーといえます。店舗だけを見る限り、ナショナルブランドの一部に強い価格訴求などがある以外、生鮮食品の商品構成などには際立った競争力を見抜くことはできないでしょう。その後、テスコは同じ店名で世田谷などに同タイプの店を相次いで出店(5月時点で3店)しています。同社によれば、一両年で「つるかめ」含め35店の出店を計画しているといわれます。これはどのようにみるべきでしょうか。
欧米流通業の研究で知られる法政大学大学院教授・矢作敏行氏は、小売業の海外進出に際し1.市場性、2.タイミング、3.参入方式、4.事業の選択、の適否が重要であると指摘しています。
その意味では、世界第2位の市場ポテンシャル(1.市場性)と業界再編が進行中(2.タイミング)にある日本は、グローバル企業にとって、海外戦略を進める上で、外すことのできないマーケットといえるのです。そこで、4.事業の選択に目を転じると、改正まちづくり三法の施行以降、郊外での大型店出店ができにくい今後の出店環境を考えると、既存チェーンの買収でもしない限り、インパクトのある業容拡大は難しいのが現状です。また、3.参入方式については、今回のテスコはシートゥーネットワークという「現地企業の買収」によって、一定の業容規模の確保からスタートしたわけですが、これはウォルマートが西友に資本参加した参入パターンと同じです。ただし、買収先が成長性を持ったプラットホームとなり得るかは疑問符がつきます。
テスコ「エクスプレス」とイオン「まいばすけっと」
こうしたことを考えると、都市部への人口集中もあって、都市部にふさわしいフォーマットとして、テスコは「エクスプレス」という小型店を選択したと考えられます。これは理にかなっているといえます。
実は先述のイオンも、この春の組織改編により、「戦略的小型店事業」を設置、同社の傘下にあるコンビニ「ミニストップ」、専門店「オリジン弁当」などを統括し、包括的に小型店戦略の見直しを始めました。イオンは昨年から「まいばすけっと」というミニスーパーの実験展開を開始しています。これもアウトパック主体の小分け生鮮品に、惣菜、ベーカリー、自社ブランド「トップバリュ」の食品を60〜80坪の売場に品揃えしたものです。大型店の入り込めない都市部、市街地における足元商圏狙いのフォーマットといえます。テスコ エクスプレスのコンセプトとも合致します。
「まいばすけっと」は今年5月時点で8店舗出店、店ごとに立地、レイアウトや商品構成に微調整を加えることで実験の幅をじわじわと広げています。
最近、大型ショッピングセンターの出店ばかりが注目されますが、テスコ、イオンなどグローバル小売業による小型店出店は、むしろ小商圏対応の「小型店」が、これからの”主戦場“で戦うフォーマットにもなることを示唆しているのです。 |
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テスコ店舗状況
| 地域 |
店舗数 |
| 英国 |
1988 |
| チェコ |
84 |
| ハンガリー |
101 |
| ポーランド |
280 |
| アイルランド |
95 |
| スロバキア |
48 |
| トルコ |
30 |
| 欧州計(英国を除く) |
638 |
| 中国 |
47 |
| タイ |
370 |
| 韓国 |
91 |
| マレーシア |
19 |
| 日本(「つるかめ」含む) |
109 |
| アジア計 |
636 |
| 総計 |
3262 |
※テスコ ホームページ2006年度資料より
(株)商業界作成 |