|
またあるSMでは、必ず文書に基づいた商談を徹底させることで、見積書や登録マスターなどでの事前の取り決めなしの返品や値引きが起こしにくい環境をつくっています。
文書で契約内容を明確化し、仕組みやシステムによって、商取引の現場では不正が行われにくいセーフティネットをかけている点が対応を進めている各社の共通項といえます。
ただし、「この告示でも、まだ抜け道がある」とあるチェーンの現役バイヤーは今回の告示の及ばない点を指摘します。
現実に「優越的地位が濫用される」場面とは、取引条件の決まる商談の場でしょう。
例えば、春秋の新商品導入における旧商品の処分の際、新商品の値引きとして織り込むことも、不当性を孕んでいるとはいえ、双方の“納得ずく”で行われる形になるというのです。
また、ある食品メーカーの関係者は、「納入業者の従業員等の不当使用等」に当たる、新店オープン時や棚卸しなどへの応援要請について、「断れば“非協力的”と見なされ、以降の取引に影響が出る。取引の変更の過程も合法的なかたちをとるため、協力しないわけにはいかない」と言います。
金銭などの提供についても、かつてのような利益補填目的のあからさまな協力要請は姿を消したものの、より巧みなかたちでの「不当な経済上の利益の収受等」も予測されるというのです。
・・・
「損得より先に善悪を考えよ」
これは「商売十訓」といって、商業界創始者である故・倉本長治前主幹が、商人のあるべき姿を十の誓詞としてまとめたもので、この言葉は第一に挙げられるものです。
本来、商売とは利益追求をするもので、これが原則とされてきました。ただし、善悪を基準として商売を進めることが本当の繁盛につながるという考えをこの言葉は示しています。
お客にとってよいと思うことを実行する。逆にお客にとって、不利益につながるのであれば、売れるものでも売らない、扱わないこと。いずれ、お客はそのことを店に感謝し、店のファンになってくれる。「お客」は「取引先」にも置き換えられるでしょう。
今の言葉で言えば「コンプライアンス(法令遵守)」になるでしょうか。
サービス残業、不当な労働環境が指摘される「人の問題」、不当表示、消防法対策などでも適法が求められる「店・売場の問題」と同様に、商売の根幹である「商取引の問題」についても、法を遵守し、真っ当に行うことが求められる時代になったのです。
※掲載の写真は本文とは関係ありません。
|