便利さを求める背景
スーパーマーケットの営業利益率が5%を割る厳しい経営環境の中、消費者の生活環境もファミリー世帯から、高齢世帯、単身、夫婦共働きと個食の時代に入ってきており、家庭内調理の内食市場は減退する傾向にあります。しかし、食環境を見ると、家で食事を取らなくなっているわけではなく、その市場は中食マーケットに移行しているだけなのです。消費者は、個食環境の中、家庭内調理から離れ、より便利な調理済み商品に手を伸ばすようになってきています。
アメリカのスーパーマーケットを見ても、入り口を入ったところにデリカスペースを大きくとり、個食対応を打ち出す店舗が増えています。スープバーを配している店舗もあり、消費者にとって、より便利に利用できる環境に移りつつあります。さらに無添加や植物油使用など、便利さだけではなく、その中にヘルシーさを求める傾向にあり、デリカに対して、より要求が高くなってきているのが実情です。また、新たな収益源の一つとして、店舗スペースの有効活用があります。最近、中小スーパーマーケットでも、大手GMSをまねた小型のフードコートや、移動式店舗を併設しているところが増えていますが、店舗の雰囲気にマッチしない違和感のあるパッケージ導入がよく目につきます。
コンセプト店舗の重要性
消費者の消費行動は、昔と違い“欲しいものは一通り手に入れた”状況にあり、感性の高いもの以外は、商品に執着して購入するという動きがなくなってきており、同一商品はより価格の安い店舗での購買に流れる傾向にあります。また、消費者は『楽しい体験』『感動する体験』を追い求めています。“もの”を買うから“こと”を買うことにシフトしてきており、わざわざ足を運ぶ理由を作る必要があります。それには、店舗コンセプト作りが重要となってきます。まずは、消費者にどう感じてほしいのかを明確にし、店内ショップもそのコンセプトに合わせた店作りが必要となります。消費者を取り巻く環境には、数多くの店内ショップが存在しますが、その中でより多くの消費を求めようとしても、店舗コンセプトを外れた、違和感のある併設店で消費を行うことは少なく、無駄にスペースを利用しているスーパーマーケットが多々見受けられます。逆に単純に併設店を作るのではなく、コンセプトにあった店内ショップを作ることにより、利益率が高く、リピートしてもらえる併設店ができるのです。
アメリカのフードコートの動きも、新鮮な食材を売るスーパーマーケットのイメージを強調すべく、ファストフードのスタイルからファストカジュアルのスタイルに移りつつあります。それは、(1)電子レンジを使わない。(2)缶詰などの調理済み商品を使わない。生の材料から丁寧に調理する。(3)うまみ調味料などでごまかさず、自然のうまみの組み合わせ。(4)動物性油脂を使わない。(5)健康を気遣う。と安心、安全、健康を体系的に演出することにより、顧客から永続的に支持を得られる独立した繁盛店作りを行い、買い物だけではなく、新たな目的を創出する店内ショップ作りが行われています。なお、自店での併設店舗の構築が難しい場合には、フランチャイズの活用もあります。現在、(社)日本フランチャイズチェーン協会が把握している本部は1088ありますが、実際にはその倍以上のフランチャイズ本部が存在するともいわれています。 |
|
塩見俊朗 株式会社アンス
コンサルティング
代表取締役社長
ジャスコ(株)を経てCVSミニストップの本部構築、人員教育、SV体系構築を手掛ける。その後、数々のチェーン店本部構築支援を手掛け、日本のチェーン本部構築の草分け的存在である。また、デベロッパーとの親交も深くテナント誘致なども行う。中国広東省中山市小欖鎭人民政府 経済顧問としても活躍している。 |
 |
| アメリカのスーパーマーケットでは、入り口から中食をクローズアップした陳列に移行 |
 |
| アメリカのスーパーマーケットでは、入り口から中食をクローズアップした陳列に移行 |
|